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連れてこられたのは、街の酒場。
人はさほど多いとは言えないけど、それなりに賑わってる。
朝、と言うには遅くて、お昼にはまだ早い時間帯。
ジェイドに連れられて、席に座る。
来る時に鏡を見た。
自分でも笑ってしまう位、この世の終わりのような顔をしていた。
あの時程の苦しさはない。でも、やっぱり全身が泡立つような感じが、消えてなくならない。
刻一刻と、まるで何かが近付いてくるみたいに。
頭が、おかしくなりそう。もう止めて欲しい。
顔色の良くない風に見えた私を気遣ってか、ジェイドはちょっと待ってろと言って、席を外した。
ぼぉっと天井を見上げて、思う。
消えてしまいたい。
「ラピス、待たせた。」
ジェイドの声がしてそちらをみたら、空気が凍った。
ジェイドの隣に、白髪の男性が立っている。
以前程ではないけど、鋭い目で私を見つめたその人はアゲート。
サーカスの、副団長。
「…久しぶりだな、ラピス…。」
優しくなった声色が、私に突き刺さる。
もう逃げられない。
ジェイド、アゲートが席について、私と向かいあう形になった。
静かだった胸が、今は動悸で苦しい。
長いような短い間があって、アゲートが口を開いた。
色々と前置きがあったけれど、殆ど耳には入らなかった。
最後、話の結びにこう言ったのだけは覚えてる。
「ラピス、またサーカスをやらないか?」
それと同時に、今までかろうじで形を留めていたものが、壊れて流れて、どっと溢れ出てくる感覚に陥る。
ダメだ、もう止まらない。
言葉と一緒に、涙が一緒に流れてくる。
違う、そんなんじゃない…。
こんなこと、私は少しも望んじゃいない…。
嫌…、やめて…。