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「…これでいいの…?」
「…貴方もそう望んだはずですのに…?」
「…そうだね…。」
「どうせ今、団長に出会えたとしても…」
「合わせる顔がないから…?」
「ボクは、団長との約束を守れなかった…。」
「立派な道化師になるって…?」
「それどころか…、ボクはその教えを否定してしまった…。」
「君は君であり続ける事を微かでも望んでしまった…。」
「だからボクは、見放されてしまったんです…。」
「団長は、それを全て分かっていた、から…。」
「あの日から、ボクは団長を探し続けて来ました…。」
「でもそれって、ある意味私と君の為でもあって…。」
「ずっと一人で生きて、望まれた道化師になって…」
「見捨てないで欲しいって、言いたかった…。」
「だから…、今までそうして生きて来た…。」
「教えに縛られて、戒めとしてしか生きられないから…。」
「でも、馬鹿なボクは自分でそれを犯してしまった…。」
「だからと言って、それを取り戻すために、自分で壊す勇気もなかった…。」
「全部中途半端で、ただ唯一望まれた事すら出来なくて…、」
「挙句に、道化師だと誇りを持つことすら出来なくなった…。」
「ボクからそれを取ったら何もないのに…。」
「今の私と君は、ただのガラクタ…。失敗作…。」
「ボクは、できそこないの道化師です…。」
「できそこないの失敗作は、誰だって必要ないもの…。」
「ねぇラピスラズリ、君はあの時言ったよね。」
「言った…?」
「「あなたとボクは」…?」
「…同じ、だから…。」
「そう、同じだから…。君に戻るね…。」
「……、」
「できそこないの道化師には、何もないから…。」
「…、違う…」
「違くない。大丈夫、君のは全部本当だから…。」
「…?」
「君の出会ったもの、見つけたものは本物だから…。」
「どうして…」
「ラピスラズリ、もう本音を言って…?私と君は同じだから…。」
「本音も、分かってる…ですか…。でもっ…そしたら…」
「だから、君に戻るね…。大丈夫、同じ存在だから、君も道化師…。」
「でも、それは…」
「今までの自分を全て否定することだから。」
「…。」
「ラピスラズリ、良く聞いて、聡明な君だからこそ、否定した。でも、団長の意志さえも否定してた事に、気付いてたんでしょう?」
「…、」
「言い方が違うね…、団長の意志を否定することしか、自分を否定できなくて、否定したまま肯定した…。」
「どうして…、」
「分かるよ、だって、私は君だもの…。」
「でも…」
「うん…、同じだけど、バラバラだった…。だから、一つに戻るだけ…。」
「でも…」
「大丈夫、いつでも一緒…。ただ、君の奥深くで力になるから…。」
「それって…、」
「その時が来れば、分かるよ…」
「ほら、また泣いてる…。」
「だって…、」
「本当の気持ち、見つけたんでしょう…?」
「…っ…、それは…」
「道化師とか、そんなの関係なくさ…。だって、どうせ誰も居ないんだもの…。」
「……なかった…。」
「うん…。」
「たった一言…言えなかった…。」
「それを本当は言いたくて、ずっと会いたかった…。」
「全部関係ない…」
「団長と、ただのラピスラズリ…。」
「「…お父さん…て、ずっと言いたかった…。」」
「…~っ…―…。」
「泣かないで、ラピスラズリ…、大丈夫、大丈夫…。」
「全部、終わったから…。」
( 「 ごめんな、ラピス…―。 」 )
あの時だけじゃない。
団長は、いつだってボクを見てくれていた…。
現状が壊れるのが怖くて、ボクが気が付かないでいようとしていただけだった…。
あの日の朝、確かにこう言ってくれた…。
( 「アゲート、僕に何かあったら、娘を…ラピスを頼む…。」 )
怖くて、蓋をした。
…ずっと、言えなかった…。
「もう、大丈夫…。」