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一瞬の出来事で、事態を理解することさえ出来なかった。
轟音が聞こえたかと思った瞬間、冷たい水が自分を呑み込んだ。
ああ、水門の許容を越えてしまった水が、橋の上に溢れ出たのか…。
苦しい。
空気を求めて、一心に水面へと浮き上がる。
「…プハッ……ん…ぐ…」
勢いのある水に逆らうことが出来ずに、また水中に引き戻される。
泳ぐ程無駄。
水深はかなり深くて、上と下、まだまだある…。
苦しくて、辛くて、疲れたせいで、泳ぐことが出来ない。
苦しい…空気が欲しい…。
全身が酸素を渇望している…。
苦しいよ…。
苦しいよ…胸が…。
押しつぶされそう…。
水に…?
ちがう…、何だろう…
ずっと、自分が逃げ続けて来たもの…。
ずっと苦しかった…。
全部忘れてしまって、ただ息がしたかった…。
でも逃げることしか出来なくて、忘れることは許されなくて、ずっと苦しみ続ける事しか出来なくて…。
これは望めば全部エゴだから…。
逃げ続けた結果の苦しみならば、受け入れる事しか自分には出来ない…。
「「遅すぎだよ…ラピスラズリ…。」」
「「そうかもしれないですね…。」」
受け入れて、それでも元には戻らない…だから…
苦しい。
空気を望めば望む程に。
水が、身体を押しつぶしてしまうような…。
もがくことはもうやめた。
繋ぎとめるには自分には難し過ぎた。
苦しいから、手放す。
「ゴハッ…ガフッ…」
ゴポゴポゴポゴポ…
肺の中の空気を、全て吐き出した。
大丈夫、苦しくない…。
水が身体に入り込んで来る…。
大丈夫、怖くない…。
苦しくないよ…。
なんだ、こうしてしまえば楽だったのに…。
もっと早く、気が付けば良かった…。
「…ガハッ…」
最後の空気を吐き出した。
終わり、
終わり、
全部終わり、
これで全て解決した。
もう邪魔しないで、
神さまがそうする事を望んだんでしょう?
終わり…。
これで終わり…。
おしまい…。
意識を手放す。