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浮かび上がるのは、小さな、小さな人影…。
(……子…ども…?)
深い…迷宮のような遺跡に似つかわしくない、小さな子供。
たぶん、ここに居るジェイドよりも幼いだろう。
声を掛け…、道を聞かなければ…。
「ちょっと、そこのきm…「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!でたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
声をかけようとしたが、あえなくジェイドの悲鳴にかき消されてしまった。
(まったくこの子は…)
呆れるも、今まで静寂に包まれていた空間。霧の向こうに居る"子供"にも聞こえたはずだ。
見ると、一瞬ビクッと体を震わせ、こちらを見るような仕草の後、向こうへ走りだしてしまった。
「あっ、ちょっと!待って!」
あの子に届けと、声を掛ける男。だがしかし…、
「うわぁぁぁ、お化けえぇぇぇ!ジジィ置いてくなよ馬鹿ぁぁ!!!!」
走り出そうにも、足にしがみつくジェイド。
見る間に霧の中へ消えゆく影。
(捕まえないと…!………、おや…?)
「あれは…確か…。」
よく見ると、影とともに走り去るものがもう1つ。紐のように長い物が、影へと繋がっている。
「うおーーーーん!!!お化けーー!俺死んじゃうぅ!!!」
相変わらず足元にしがみ付いているジェイド…。早く追いかけなければ。
「ジェイド、あれはどう見たって人間でしょう!ちゃんと影が付いていましたよ!それに、あの人が貴方の探している物も持ってましたよ!」
「……へ?」
「貴方の落としたルビーさんの鞭、あの人が持ってました!たぶん拾ってくれたんだと…」
見ると、もう男の眼の前に少年はいなかった。
走る音がすると思い前を向くと、『ルビーの鞭』『持ってた』の単語で頭がいっぱいのジェイドが、話しを最後まで聞かず、影の走り去った方向へ走りだしていた。
「くらぁーーー!!!鞭返せぇぇぇ!!!」
「ああ!ちょっと!!……乱暴な真似しないでくださいねーーー!!!!」
遅れて走り出す男は、どんどん先へ行ってしまう少年へと大声で叫んだ。たぶん、聞こえていないだろうが…。
少し走った位のことだった。
崩れた遺跡を潜り抜けたとき、前方から「きゃん!」と言う声が聞こえてきた。
何か、嫌な予感のする男。
不安を胸に抱きつつ、声のした方へ。
見ると、
「おう、じじぃ、遅かったな。」
と、ジェイドがいた。
足元には手足をバタつかせているさっきの子供…。
まとめてみると、ジェイドが捕まえた子供の上に足を組んで座っている感じだ。
多分、タックルでも食らわされたのだろう。可哀そうに、倒れた上にジェイドの重しで動けない。
だた無残に手足をバタつかせている。
ジェイドはジェイドでしっかりと座り込み、逃がすまいと体重をかけている。手にはしっかり探し物の鞭も握られている。
「はぁ…。聞いてないと思ってましたが、ジェイド、僕は乱暴な真似はしないでくださいと言ったはずですよ。」
「だって、こいつ俺が落とした鞭もってたんだぜ!?」
「拾ってくれたかもしれないんですよ。さぁ、そこからどいて。」
男は2人に近づき、少年に降りるよう促す。
「ちぇー………だわぁ!」
が、それを狙ってか、ジェイドの束縛が緩んだ一瞬を狙い、ダッと起き上がり、走る出そうとする。
ジェイドは反動で後ろに倒れる。
だが、
「おっと…。ちょっと失礼。」
と、走り出すその子をヒョイと両手で掴み、手に持つように男は抱き上げた。
「Σ………!…」
抱きあげられた子は、ビクッと、蛇に睨まれた蛙のように硬直してしまう。
改めてまじまじと上から下まで観察する男。
小柄で華奢な体、髪の毛は埃で白く汚れぼさぼさと。長い前髪でよく目は見えないが、顔も泥だらけだ。
そしてその服装。なんと布一枚。何とか下着は身につけているものの、厚い薄汚れた毛布生地の布を、肩から羽織っているだけなのだ。
他に何か着ているわけでもなく、靴すら履いてもいない。最早服もと呼べない代物だ。
「女の子…か…。」
歳は5歳位か…?と男は見極める。
もっと顔をよく見ようと、男は覗き込んでみた。
それは『藍』。
とても深く、澄んだ、『藍』
外見からは想像もつかないほど、綺麗な瞳・藍。
ほぅ…と、知らぬ間に引き込まれる。
宝石のように、光を取り込んでは、ゆらゆら揺れる…。
ぱちり…と、瞼が動く。
「あ、ご、ごめんごめん。今下ろしてあげるからね…!」
ずっと少女の瞳に見入っていた男。慌てて顔を離す。
男に、興味というものが湧いてきた。