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―…「悪魔の子」
その言葉が、ぐわんぐわんと男の頭の中に響き渡る。
悪魔の子、確かにその子はそう言った。
この子は…、この子はいままでどのような生活を送って来たのだろうか。
見たところによると、孤児なのは明らかだ。
しかし、いくら孤児だからと言えど、こんな名前は、あんまりだ。
不安げに体を強張らせ、声も出さずビクついている少女。
「大丈夫、何もしないから。逃げないで、話を聞いてもらえるかな…?」
そんな少女を労わるように、優しく、不安を解いてゆく人懐こそうな男の笑顔。
それが、この男の最大の武器でもある。
「…、……。」
まだ警戒はしているが、自分に危害はないと思ったのか、少女の力が少しだけ緩む。
「ありがとう…。僕の言葉、解るかな?お話、出来る…?」
今はこの子が頼みの綱だ。が、意思の疎通が出来なければ意味がない。
大丈夫だろうか…?
「…っ…。」
そんな男の心配をよそに、少女はコクコクと頷いた。
「そう、よかった!」
ほっとする男。微笑みを浮かべ、少女を下ろしてあげる。
さて、この子の分かる範囲で教えてもらおう。
…ところが、又してもジェイド…。
下ろしてもらった少女へ突っかかり、思いっきりに怒りをぶつける。
「おいコラ!さっきはよくも俺をぶっ倒したな!!
「Σ……~!!」
少女はビクッと驚き、少年から離れ…男の足の後ろへと隠れてしまった。
後ろからジェイドをビクビクしながらのぞいている。
「あ゛ー!!イライラする!何だよこいつ!!」
はぁ…。
男が深い深いため息をつく。
(まったく、この子ときたら…)
元気なのはいいことだ。だが、
ゴンッ!
「ジェイド、いい加減にしなさい!」
男だって、怒る時は怒るのだ。
ジェイドによって怯えてしまった少女を安心させるのに、暫くの時間がかかった。
浮かび上がるのは、小さな、小さな人影…。
(……子…ども…?)
深い…迷宮のような遺跡に似つかわしくない、小さな子供。
たぶん、ここに居るジェイドよりも幼いだろう。
声を掛け…、道を聞かなければ…。
「ちょっと、そこのきm…「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!でたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「うわーん!無いっ!無いよー!!」
遺跡に響く少年の鳴き声。
「ジェイド、君は男の子なんですよ。物が少し見つからなかった位では泣くとは…」
すぐそばには、男の子を窘め、辺りを見回す男が1人。
「うるせぇジジィ…グスッ…。だって…、ここら辺に落っこちたんだもん…ズズッ」
「ジジィって…、僕はまだ37なんですが…。しかしよくもまぁ器用に落っことしましたね…。城壁から物を落っことすなんて…。」
呆れたように呟く男。それに対し、
「それより…グズッ…道は…分かったのかよ…。」
とても重要なことを聞いてきた。
「えーとー…。ここへ来るまでに随分とくるくる回ったので…。位置がいまいち…。」
うーんときょろきょろ見回す男。
それに不安を覚えたのか、少年が恐る恐る思ったことを聞いてみる。
「え…、まさか道に迷ったとか、言わないよな。」
「何を言ってるんですか。そんなのとっくの昔に迷ってるに決まってるでしょうが。」
えへん、と自慢げに胸を張る37歳サーカスの団長。これでも一応、人望厚い立派な団長なのだ。
「うぁわぁぁぁぁんんんん!!!!!!!!やっぱりぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」
少年は最早、探し物の見つからない不安と、頼るべき人物が頼りがいの無い人物へとなっている事実に鳴き声をあげた。