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ラピス・フォグス
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紫煙群塔ラッドシティ――…


その名を聞いて、到底人ごとには思えなかった。





何だろう、知らないはずなのに、耳に響くその都市の名は。

胸が変にざわつく。

落ち着かない。



ざわざわ

ざわざわ

ざわざわ




麻酔でも掛かったように、全身に広がるさざ波。

落ち着かない。

どうしてこんなに、この身が竦むの?





 







ある日、身を焦がしそうな程の疑念を持ちながら、

少女が立ちすくんでおりました。




見据えるのは、幻惑に色付く紫煙に包まれた都市国家。

少女の足は動かない。

ただただ、その先の国を見据えているだけ。



皆はもう、行ってしまった。 

後は、自分だけ。



でも、本能が。

心の奥で、誰かが…





自分はこの都市国家を、知らない訳が無かった。

深く胸に刻まれた、鮮烈な記憶。

忘れちゃいけない、確かな足跡。

それだけは、偽りのない真実。


もう、戻ることは無いと思ったのに。

運命の悪戯?

本当に、嫌われてるのかな。




踏み込んだら、多分もう逃げられない。




だってここは、始まりの場所だから。




人形の様にぎこちなく、足を動かし始める。



「あはは♪」

そう言った少女は、泣いていた気がする。




 

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