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朝、町から外れた広場には、軽快な音が響いていた。
トンテンカン…トンテンカン…
2週間の公演を終えたサーカスが、次の街への準備に追われている。
テントを畳む者、動物たちを連れていく者、演技に必要な大道具小道具を運ぶ者…。
そんな慌ただしさの中から抜け出てくる、2つの影。
一つは小さく、もう一つ大きい。
大きい影が言った。
「はぁ…、あなたは一体何を落としたんですか?」
小さい影が答える。
「鞭!ルビー姉さんの鞭!あれ失くしたら絶対殺されるっ!」
「もう…。で、どこら辺に落としたんですか?」
「あっち!」
そう言って、小さい影は、そそり立つ外壁の下に存在する遺跡群を指差した。
「また大変なところに…。早く取って帰ってきますよ。皆が待ってます。」
「はーい。」
トンテンカン…トンテンカン…
「おーい、飯だぞー!」
エプロン姿の男が、声を張り上げた。
すると、
『はーい。』
と、軽快な音が止み、人の声と言う喧騒に変わった。
1人の男が気がついた。
「あれ?団長は?」
赤い髪をした少女が声を張り上げた。
「ジェイドー!!朝飯だよ!!ジェイドー!!!」
2人に答えるように、藤色の髪をした青年は淡々とこう言った。
「ああ、マスターならジェイドと下(遺跡)に行ったよ。」
よく通る、声…
暫くの、間…
『はあぁぁぁぁ!?!?!?!?!?』
それは、その場にいた全員を揺るがすことだった。
【紫煙群塔ラッドシティ】
それが現在、このサーカスの居る街だった。
古代遺跡を利用して建設された都市国家な為、現在も多くの古代遺跡が存在する。
遺跡と隣り合わせな街ではあるが、その内部へ立ち入る者はほとんどいない。
構造自体が複雑な古代遺跡、その為それを利用してか、多くの犯罪が発生している。
あまり、と言うか、安全ではなく確実に物騒な場所なのである。
それを慣れない丸腰の大人と子供がフラリフラリ…。
団長ならまだ戦えるかもしれないが…。
それより団員を心配させていることが、複雑な構造…。
はたして、あの団長が無事戻ってこられるのか…?
う~んと、唸りでも聞こえてきそうな空気の食堂。
それを打ち破るように白髪交じりの男が手を叩き、声をあげた。
パンッパンッ!
「取りあえず団長の事はいい!そんなに心配せずとも戻ってくるだろう!それより人手が足りなくて荷造りが終わらん!そっちを先に終わらせろ!団長達はそれからでも遅くない!」
『へーい!』
それなりに位の高い男なのだろう、先ほどまでの空気は払拭され、元のてきぱきとした空気に戻る。
そして始まる、いつもとはちょっと違う、新しい朝…。